UiPath から AI RPA への移行ガイド:Healing Agent との違い

UiPath は、国内の RPA 市場で売上シェア 1 位の製品です。ITR の調査では、2024 年度の国内 RPA 市場の売上金額シェアで 8 年連続の 1 位とされています。開発環境の Studio、ロボットを集中管理する Orchestrator を備え、大企業の全社的な自動化を支えてきました。

一方で、RPA を使う会社の調査では、全社に広げるうえでの壁として費用が最も多く挙げられ(BizteX、2024 年)、導入後の課題としてはロボットを作れる人の不足が最も多く挙げられています(スターティアレイズ、2024 年)。UiPath 自身も、AI で画面の変更から回復する Healing Agent を提供し始めました。このガイドでは、最近の変化と Healing Agent の仕組みを出典つきで整理し、UiPath に残す業務と移す業務の見分け方、移行の手順を解説します。

要点

  • UiPath は 2023 年に価格を約 10% 引き上げ、オンプレミスのレガシープランを終了して Flex プランに移した
  • Healing Agent は止まりそうな操作を実行中に回復させるが、修復は次の実行に引き継がれず、恒久的な修正は開発者が Studio で適用する
  • 全社の大量処理は UiPath に残し、部門で直したい自動化や、止まりやすいロボット、判断が要る業務から移すのが現実的

UiPath の最近の変化(2026 年 10 月時点)

価格とライセンス体系

UiPath は、2023 年 7 月 1 日以降に処理する契約(更新を含む)から、すべての製品の価格を約 10% 引き上げました。

また、2023 年 10 月 31 日で、オンプレミスプラン(レガシープラン)のすべてのライセンスと、Non-Production Robot ライセンスの提供を終了しました。既存の契約は期間の終わりまで使えますが、2023 年 11 月 1 日以降の更新では Flex プランへの移行が必要です。

Healing Agent

Healing Agent は、画面の変更などで UI の操作が失敗しそうなとき、AI が原因を調べて回復させる機能です。UiPath の資料によると、次のような仕組みと条件があります。

  • 2 つの動き方:既定では、修復の提案(レコメンデーション)を出すだけです。実行中に自動で回復させる「自己修復」は、管理者が有効にする必要があります
  • 修復は次の実行に引き継がれない:ある実行での修復内容は、次の実行では保持されません。UiPath も、提案を使って恒久的に直すことを勧めています
  • 恒久的な修正は開発者が行う:修復の内容を Studio に取り込み、開発者が適用して初めて、自動化そのものが直ります
  • プランと使用量:Enterprise プランには年 5,000 回分の修復が含まれ、Basic と Standard のプランでは追加の購入が必要です。修復 1 回あたり 3 Platform Unit を使います

止まらずに済む場面は増えますが、直す作業そのものは、Studio を扱える開発者に残ります。

UiPath に残す業務、移す業務

業務の状況 おすすめ 理由
全社で標準化された大量の定型処理を、Orchestrator で集中管理している UiPath に残す 大規模な集中管理と、決まった操作の速さが生きる
Enterprise プランで Healing Agent を使い、開発チームが修正を回せている UiPath に残す 仕組みと体制がそろっている
業務部門が作った小さな自動化で、直せるのは作った人だけ 業務の担当者が会話で直せる自動化に移す 開発者の手が空くのを待たずに済む
社外の Web システムを操作し、予告なく画面が変わる 覚え直した操作を保存する自動化に移す 同じ変更で毎回回復する必要がない
請求書の読み取りなど、内容の判断や人の確認が要る AI と人の承認を組み合わせた自動化に移す 判断は人、操作は AI と分けられる
相手のシステムに API や CSV の連携がある 公式の連携に置き換える 画面操作より変更に強く、速く、確実

移行の手順

  1. ロボットの一覧と失敗の履歴を集める:Orchestrator から、プロセス、スケジュール、ジョブの失敗の履歴を書き出します
  2. 止まりやすさと直す手間で順番を決める:失敗の回数、止まったときの業務への影響、直せる開発者の数で、移す順番を決めます
  3. 業務の言葉で書き直す:ワークフローを 1 アクティビティずつ写すのではなく、業務の流れを言葉で書き、人が判断する所と確かめる所を明記します
  4. PoC で確かめる:本番と同じ画面とデータで動かし、画面を変えても動き続けるかを確かめます
  5. 並行稼働してから切り替える:繁忙期を含めて UiPath と並べて動かし、結果を突き合わせてから切り替えます
  6. ライセンスを見直す:移したプロセスの分のロボットのライセンスを、更新の時期に合わせて整理します

各ステップの詳しい進め方は「RPA から AI RPA への切り替え手順」で解説しています。

ワークフローの要素は、どう書き直すか

UiPath のワークフロー 業務の言葉で書く手順
セレクターで指定した要素のクリックや入力 「請求書番号の欄に入力する」のように、対象を画面の見出しで書く
要素の出現を待つ、決まった時間待つ 「一覧が表示されたことを確かめる」のように、待つ条件を書く
Excel の行やデータテーブルの繰り返し 「一覧の各行について」と書き、行ごとに処理する
条件分岐 条件を言葉で書き、判断が難しいものは人の確認に回す
例外処理と再試行 失敗したステップから再開し、担当者に知らせる

UiPath と Kitewell の違い

観点 UiPath Kitewell
作る人 Studio を扱える開発者 業務の担当者が、AI アシスタントとの会話で作り、差分を確かめて適用する
画面が変わったとき Healing Agent が実行中に回復させる(設定とプランによる)。恒久的な修正は開発者が Studio で適用する 覚えた手順で進めないとき、AI が画面を読み直して操作を覚え直し、次からはその操作を繰り返す。覚え直した操作は実行の記録に残る
引き継ぎ 手順書を別に作る アシスタントが作業しながらナレッジを書き、ロボット管理台帳も書き出せる
向いている規模 全社の大規模な自動化 部門の業務から始め、止まりやすい業務を置き換える
料金 プランと使用量に応じた料金。2023 年 7 月に約 10% 値上げ 法人向けの Team と Enterprise は PC の台数に応じたお見積りで、利用者の人数では増えない

UiPath の情報は 2026 年 10 月時点の公式の資料によります。製品の機能は更新されるため、最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。

まずは 1 本で確かめる

Descarty は、止まりがちなロボットを 1 本選び、2 週間で Kitewell に置き換える PoC(30 万円・税別)を提供しています。合意した成功基準を満たさなければ、費用はいただきません。

出典

よくある質問

UiPath の Healing Agent があれば、画面が変わっても止まらないのでは?
Healing Agent は、画面の変更などで止まりそうな操作を実行中に AI で回復させる機能です。ただし、ある実行での修復内容は次の実行には引き継がれません。恒久的に直すには、開発者が修復の提案を Studio に取り込んで適用します。また、実行中の自動修復は管理者が有効にする必要があり、プランによっては追加の購入が必要です。
UiPath と Kitewell は併用できますか?
はい。UiPath で安定して動いている大量の定型処理は残し、止まりやすいロボットや、業務部門で直したい自動化、判断や承認が要る業務だけを Kitewell に移せます。
UiPath のロボットを Kitewell に変換できますか?
変換はしません。業務の流れを日常の言葉で書き直します。セレクターや待ち時間といった古い画面の前提を持ち込まないため、画面の小さな変更に強くなります。
UiPath の価格はここ数年でどう変わりましたか?
UiPath は、2023 年 7 月 1 日以降の契約(更新を含む)から、すべての製品の価格を約 10% 引き上げました。また、2023 年 10 月 31 日でオンプレミスプラン(レガシープラン)のライセンスと Non-Production Robot ライセンスの提供を終了し、更新時に Flex プランへ移ることになりました。
移行にはどのくらいの期間がかかりますか?
止まりがちなロボット 1 本なら、2 週間の PoC で Kitewell への置き換えを確かめられます。本番の切り替えは、月末などの繁忙期を含む並行稼働を経てから行うことをおすすめします。

切り替える業務の選定から相談する

今のロボットの状況をうかがい、AI RPA に切り替える業務の選定から PoC まで支援します。